店ごとの個性を楽しむ 神戸味噌だれギョウザ

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日本全国で愛されるギョウザ。もちろん源流は中国にあるが、中国では東北部を除き、一般的に水ギョウザがメインなのに対し、日本のギョウザの主流は焼きギョウザだ。たれには地域差があり、東日本では酢やしょうゆを好みで合わせるのに対し、西日本では、店ごとにミックスされたギョウザのたれを使うのが一般的。最近では酢コショウでギョウザを食べるもの人気だ。

神戸味噌だれギョウザの元祖を謳う「ぎょうざ苑」

そんな中、長野県や兵庫県では、味噌だれでギョウザを食べる文化がある。特に神戸は、味噌だれギョウザのまちとして全国的知名度を誇る。そのルーツは、元町にある「元祖ぎょうざ苑」だとされている。同店の創業者は、昭和初期に岡山県から中国の満州と三東省に移り住み、現地で貿易商と日本食レストランを営んでいた。終戦後、貿易で栄えていた神戸に帰国。慣れ親しんだギョウザを日本にも紹介したいと店を開いた。

焼きギョウザと水ギョウザ ビールは不可欠

味噌だれは、中国時代に編み出したものだという。日本を懐かしみ、中国でもよく味噌汁を作って飲んでいたといい、そこから味噌だれが生まれたようだ。同店のギョウザはニンニク不使用。そもそも中国では、ギョウザにニンニクは入れないのだという。あんには神戸牛をブレンドする。その割合は豚肉90.9%に対し神戸牛9.1%という割合だ。うま味調味料は一切使わず、塩には赤穂の天日塩を使用する。焼く際に使うのは、ピーナッツ油のみというこだわりだ。

一子相伝の味噌だれ 赤みが浮く

また、つけだれは一子相伝。当代ひとりだけが先代からレシピを受け継いでいる。そのオリジナルの味噌だれを酢としょうゆで溶き、好みでニンニクを加える。割合は味噌だれ2に対し、酢としょうゆがそれぞれ1だ。

味噌だれに酢じょうゆ、ニンニクを加える

中国では、ラー油を使う習慣がないとのことで、ラー油は置いていない。ただし、オリジナルの味噌だれに辛みが入っており、それがいい塩梅になっている。つまり、中国流を守りつつ、最後はしっかり日本人好みのニンニク&辛味のギョウザになっているのだ。今回は、焼きギョウザと水ギョウザをいただいた。たれの味が明確で、味噌がしっかりと主張する。ちょっと濃い目の味噌味に、ビールがよく合う。

水ギョウザを味噌だれに浸して

神戸味噌だれギョウザの元祖を標榜するものの、「元祖ぎょうざ苑」は南京町広場にも近く、神戸を代表する中華料理店のひとつでもある。味噌だれギョウザのほか、塩で食べる揚げギョウザやスープギョウザもある。焼きギョウザと並ぶ、中国東北部の人気メニュー、ジャジャ麺もある。メニューは豊富だ。

コンパクトな「ひょうたん」

一方で、神戸には味噌だれギョウザの専門店も数多くある。そのひとつが「ひょうたん」だ。神戸の人たちに愛されながらも、店主の高齢化で一度店を閉じた。しかし、創業家と大阪にある外食企業のコラボで営業を再開した。元町店は、JR元町駅の通りを挟んで向かいの中心街に位置する。カウンターだけの、驚くほどコンパクトな店構えだ。

赤っぽい味噌だれ 豆味噌だ

店構え同様、メニューも極めてシンプル。食べ物は焼きギョウザのみ。あとは飲み物だけだ。注文は何人前食べるのかだけ。通りに向いた小窓の前に小さな焼き台があり、そこでひたすらギョウザを焼く。客は、ビールや紹興酒をちびちびやりながら、焼き上がりを待つことになる。

酢としょうゆ、ラー油を加えた王道の味

ギョウザは1人前7個。最初は勝手がわからず、ギョウザの上にポットに入った味噌だれをかけて食べていたら、酢としょうゆで溶いて食べるものだと教えられた。同店では、これにラー油も加わる。味噌は豆味噌がベースだ。なので色が赤っぽい。ただし、最初味噌だれだけで食べていたように、塩味は控えめだ。焼けた皮のカリっとした食感と豆味噌特有の濃厚さでビールが進む。あんには「元祖ぎょうざ苑」とは違い、ニンニクも入る。野菜多めの比較的軽めのあんだ。

路地裏の「ぎょうざ大学」

元町商店街近くの路地裏にある「ぎょうざ大学」も人気の専門店だ。普段から行列が絶えないという。こちらも専門店らしくメニューはシンプル。ギョウザのみなら1人前は7個。ただし、注文は2人前以上がルール。追加の注文も不可だ。このほかにギョウザ12個とライス・スープがついたギョウザ定食、同じくギョウザが18個になるギョウザ定食(大)のみ。要するにギョウザとライス&スープ、そして飲み物しかない。

ギョウザ2人前とビール

ギョウザ2人前とビールを注文する。小ぶりなギョウザで普段ならペロッと食べられそうな感じだが、すでに2軒はしごした後だったので、けっこうヘビーに感じた。薄皮で羽のついたカリッとしたギョウザはとても食べやすい。何よりおいしい。

白っぽい粘度の低いの味噌だれ

一方でたれは、これまで紹介した2店とは違い、白っぽい味噌だれ。おそらく白味噌がベースだろう。そして、液状で、味噌というよりはまさに味噌だれ。この味噌だれ小さじ2杯に対し、ラー油1、酢としょうゆが少々という割合が店のおすすめ。味噌の粘度が低いので、あえて溶かなくてもラー油や酢じょうゆとなじんでいく。味噌だれが主張するというよりは、ギョウザの皮、あん、そして味噌だれが互いを讃えあって味が完成するイメージだ。

三位一体で完成する「ギョウザ大学」

今回は3店食べ歩いたが、ギョウザそのもの、そして味噌だれに各店ならでは違いが明確だった。きっとほかの店にも、その店なりの個性があるのではないかと思った。専門店が多いということは、それだけギョウザに「全力投球」している証拠でもある。機会があれば、ぜひまた食べ歩きたい。

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