知れば知るほど面白い日本の食文化にまつわる豆知識。
あなたはご存じでしたか?
食文化クイズ⑭
【東西うどん・そば問題】
Q 関西に「たぬきうどん」と「きつねそば」がないのはなぜ?
A 関西では「たぬき」が そば、「きつね」が うどん だから。
昔々、初めて大阪のうどん屋に入ったときのこと。東京で食べていた「たぬきうどん」を注文しました。ところが女性店員は何度か首を傾げて「ほんなら、そばですね」と念を押します。私が食べたかったのは揚げ玉(西日本では天かす)を散らした温かいうどんだったのですが、その店員は「そばでしょう」と譲らない。これが「東西うどん・そば問題」との出合いでした。
大阪発祥の「きつね」は当然うどんに甘辛く煮た油揚げがのったものです。その土台がうどんではなくそばだと「たぬき」になります。つまり「たぬき」と言った瞬間に、土台はそばに決まります。私が注文した「たぬきうどん」は「そばのうどん」と言っているに等しく、そもそも言語矛盾だったのです。そして東京の「きつねそば」こそ大阪の「たぬき」なのです。
東京には「たぬきうどん・そば」も「きつねうどん・そば」もあります。つまり関西は土台の違いで区別するのに対し、関東は添える種物で区別しているというわけです。
これに京都が参戦するとさらにややこしくなります。京都や滋賀で「きつね」は刻んだ生の油揚げがのったものです。大阪風の甘い油揚げが食べたければ「甘きつね」と注文する必要があります。生の刻み油揚げがのったものは、大阪では刻みうどんと呼びます。京都の古い店で「たぬき」を所望すると、油揚げやネギが入った生姜風味のあんかけうどんが登場します。
肉うどんの肉は関西ではデフォルトで牛。関東では豚です。
複雑すぎてわからない?