ひとくちニッポン食文化論10

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知れば知るほど面白い日本の食文化にまつわる豆知識。

あなたはご存じでしたか?

食文化クイズ⑩

【餡餅雑煮はどこから】

Q 正月の雑煮にあんこ餅が入るのはどこ?

餡餅雑煮

A 香川県です。

いわゆる餡餅雑煮ですね。正月あるあるの一つとしてよくテレビなどでも紹介されるので、ご存じの方も多いでしょう。問題はなぜ香川県で餡餅雑煮を食べるかです。

地元では「香川が和三盆の産地だから」と言われています。和三盆はサトウキビからとれる黒砂糖を独自の技術で漂白したものです。西洋から輸入される白砂糖を何とか国産化できないかと、長い試行錯誤の末に誕生したといいます。その和三盆は外貨を稼ぐものであり、普段は庶民の口に入るようなものではありませんでした。そこで「せめて正月くらいは」ということで貴重だった餅と砂糖をつかった餡餅雑煮が生まれたというわけです。

しかしこの説にはいくつかの弱点があります。「砂糖が手近にあったから」ということなら、なぜ同じ和三盆の産地であるお隣の徳島県に餡餅雑煮が生まれなかったのか。長崎に荷揚げされた輸入砂糖は長崎街道を通って小倉から瀬戸内ルートで江戸にはこばれたのですが、街道沿いの佐賀県や福岡県には砂糖を使った古いようかんなどの甘味が残っているのに、餡餅雑煮は存在しません。そこのところを説明できなければ、和三盆背景説はやや説得力に欠けるような気がします。

前回、ぜんざいは出雲発祥と書きましたが、香川の餡餅雑煮はこれが伝わったのではいかと考えた方が自然な気がします。

ぜんざい

出雲がある島根県の雑煮は小豆雑煮、つまりぜんざいです。お隣の鳥取県も中央部は小豆雑煮です。小豆と餅を組み合わせたものを正月に年取り神と一緒に食べるという本来のぜんざいの意味に沿っています。

山陰の小豆雑煮、つまりぜんざいが川沿いに中国山地を上り、分水嶺から川沿いに下って瀬戸内に至り、それが香川に伝わったとは考えられないでしょうか。そんな学説が確かにあります。

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