ソースカツ丼文化圏を旅する ~ 岡山県 岡山市 ~(1)

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第1回(全4回)

山陽地方の中核都市 岡山市

「晴れの国おかやま」のキャッチフレーズで知られ、温暖な気候で降水量が日本一少ない岡山県の県庁所在地「岡山市」。中国地方の中心的な都市であり、日本三名園の一つ「後楽園」を有する歴史的なまちでもあります。岡山市は若者たちも楽しめる都市機能を有し、生産量の多い岡山県産フルーツをふんだんに使ったパフェのまちとしての取り組みもなされています。

写真提供:岡山県観光連盟

写真提供:岡山県観光連盟

後楽園は備前岡山藩の第2代藩主、池田綱政が造らせたもので、1687年(貞享4年)に着工し、14年の歳月をかけ1700年(元禄13年)に完成しました。国の特別名勝に指定されており、元禄文化を代表する日本庭園(大名庭園)といわれています。

写真提供:岡山県観光連盟

写真提供:岡山県観光連盟

東京ドームの約3倍に当たる総面積133,000㎡を誇り、藩主が賓客をもてなしたとされる延養亭(えんようてい)を中心とした池泉回遊式の庭園で、岡山城や周辺の山を借景としている美しい庭園です。夜間特別開園の際のライトアップも非常に美しいのですが、今年はコロナ禍で7月一杯行事が中止ということです。早く日常に戻れることを期待します。

全国唯一のご当地「デミカツ丼」

さてソースカツ丼のまちはこれまで紹介してきたように、全国に数か所存在しています。しかしデミグラスソースのカツ丼がスタンダードなのは岡山のみ。皿盛りのスタイルでデミグラスソースをかけたカツ系グルメはお隣の兵庫県加古川市のかつめしをはじめ、いくつかあるのですが、丼スタイルのデミグラスソースがけは岡山市だけです。

岡山デミカツ丼のスタンダードスタイルはご飯にとんかつ、そしてデミグラスソースがかかるというもの。ソースカツ丼において地域性に関わる、キャベツの存在についてですが、茹で・千切り・なしなど、これといった決まりごとはありません。デミグラスソースもとろみのあるソースから、さらっとしたソースまでそれぞれのお店で特徴があります。

本格的なフランス料理などの西洋料理におけるデミグラスソースは、仔牛や野菜などで作るフォン・ド・ボーを煮込んで作る、大変時間と手間がかかるものです。しかし日本においては洋食系の大衆食堂などでケチャップやウスターソースを味のベースとしたような、赤系や茶褐色系のソース全般をデミグラスソースと称するのは珍しくありません。岡山のデミカツ丼においてもラーメン店、中華料理店で人気のデミカツ丼は、自慢のラーメンのスープを使った特製ソースで人気を博しています。

デミカツ丼の発祥

岡山のデミカツ丼の発祥のお店は、1931(昭和6)年創業の老舗「味司野村」です。元祖のカツ丼は、帝国ホテルの方から教わったドミグラスソースを、創業当初からご飯に合うように試行錯誤を重ね完成された、絶品かつ唯一無二のもの。地元岡山の人にこの味を食べて欲しいとの思いで作り上げたそうです。千切りキャベツは合わないと茹でキャベツにするなどの工夫で、ほぼ今の形になりました。

ここから岡山デミカツ丼は広まっていったわけですが、茹でキャベツのスタイルはほとんど見かけることはありません。濃厚なこちらのデミグラスソースとの相性は抜群ですが、各お店のキャベツの有無は、それぞれのお店のソースとの相性で決められているようです。

カツの下にはゆでキャベツが

岡山ではカツ丼といえばデミカツ丼一種類だけのお店が多く、ラーメン店、中華料理店の他、洋食店やうどん屋での提供もあります。ソース系カツ丼のキャベツの有無について、地域でスタンダードスタイルがない、というのは意外に珍しいのですが、ソースのベースはそのお店のスープや出汁を使っていることが多いようなので、デミグラスソースの味のバリエーションが豊富であることが要因だと考えられます。

ちなみに卵とじを出しているお店では、卵とじなどとわざわざ記載してあります。デミカツ丼が市民に浸透している証拠でもありますね。

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