まち歩きガイドさんに教わる津軽の逸品 赤紫蘇でつつんだ津軽の伝統和菓子 第1回~黒石・松葉堂まつむら「干梅(ほしうめ)」~

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津軽地方には赤紫蘇で包んだいろいろな郷土食や郷土菓子があります。赤紫蘇は料理の色付けなどに使われるのが一般的ですが、津軽地方の赤紫蘇は通常の倍ほどの大きさがあるため、赤紫蘇で包んだ食が昔から根付いているのだそうです。第1回の今回は青森県黒石市「こみせ観光ボランティアガイドの会」の元バスガイド、小野せつ子さんに、この赤紫蘇を使った和菓子をご紹介いただきました。

津軽の梅干がモデルの伝統菓子

まず赤紫蘇を使った代表的な食文化でもある、津軽の梅干について簡単にご説明しましょう。津軽では、種を抜いた梅の果肉を赤紫蘇で包んだものを梅干しと呼びます。「梅おにぎり」の具は、梅干しではなく赤紫蘇に包まれた梅肉なのです。

梅干おにぎりの梅は紫蘇で包まれたもの

さてこの紫蘇で包んだ津軽の梅干をモチーフにしたとされる伝統菓子があります。通称「梅干菓子」。津軽弁で「めぼしがし」などとも呼ばれるそうです。津軽地方で散見されますが、今回黒石市の「干梅」をご紹介します。

黒石市は中世の城下町時代がその基盤となっていますが、江戸時代、人の往来の盛んだった街道沿いにあり、近江商人を呼び住まわせたことから、商業のまちとして発展しました。現在も「こみせ」と呼ばれる、今でいうアーケード街は、とても風情ある街並みを形成しています。

「こみせ」は江戸時代のアーケード

こうした街並みをご案内いただける「こみせ観光ボランティアガイドの会」会長の小野せつ子さんに「干梅」を生み出し、老舗として現在も唯一手掛けている「松葉堂まつむら」さんをご紹介いただきました。

宮内庁お買い上げの逸品

「松葉堂まつむら」は1907(明治40)年創業。100年以上の歴史を誇る黒石を代表する老舗和菓子店で、四代目の松村久美子さんがお店を守っています。店舗に足を踏み入れると、とても立派な看板が目に飛び込んできます。

「これは大正4年に天皇が黒石にお成りの際に、宮内庁お買い上げの光栄を記念して作られたものなんです。」と小野さん。「干梅は地元を代表する和菓子として愛されていて、手土産としてもよく使われるんですよ。」

「干梅」は白あんを薄い求肥でくるみ、塩漬けした紫蘇の葉でつつんで、最後に砂糖をまぶしたもの。紫蘇の葉の酸味・塩味と白あんの優しい甘さが絶妙なバランスで、創業以来、添加物なしの変わらぬ製法で作られているそうです。

包んでいる紫蘇をよく見ると、葉脈が中心にきりりと配置されています。手に取ったときに、美しく見えるようにと配慮して包まれているのだとか。さりげない気づかいに老舗和菓子店ならではのプライドが感じられます。

店頭ではお土産用の箱入りのほか、その場で食べられるように、一つ単位で買うこともできます。お茶はもちろん、ワインに合うというご意見もあるのだとか。宮内庁お買い上げの老舗の逸品。黒石に来たらぜひ立ち寄って召し上がってみてはいかがですか。

ご紹介いただいたガイドの小野さん、松葉堂まつむらの松村さん

松葉堂まつむら

住所:青森県黒石市大字中町30

営業時間:8:30-19:00 休日:年中無休

お問合せ:0172-52-3574

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