落花生が煮物に 長崎・大村のご当地グルメ

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大村市は、長崎県の中央部に位置する市。地形の険しい長崎県にあって、大村湾に面し、県内では珍しい広い平地を持つまちだ。県の空の玄関口である長崎空港があり、長崎自動車道が貫き、今年9月には西九州新幹線も開業するという、県内屈指の交通の要衝だ。平地の多さは農業を盛んにし、落花生の生産でも有名だ。

生落花生をさや付きのまま塩ゆでに

落花生の産地ならではの食べ方が塩ゆでだ。干葉や茨城、神奈川、さらには静岡など落花生を生産する県では、掘りたての生落花生を塩ゆでにして食べることが多い。大村でも塩ゆで落花生をよく食べる。

「浦川豆店」には「大村名物塩ゆで落花生」ののぼり

1949年創業、70年を超える歴史を誇る「浦川豆店」は落花生の人気店として地元でも広く知られている。地元産の落花生はもちろん、千葉でゆで落花生用に誕生した大粒のおおまさりなどの塩ゆで落花生をそろえる。

大村の煮ごみ

そんな中で、千葉などにはない、大村ならではの落花生の食べ方がある。煮ごみだ。祝い事や法事、さらには祭など地域の行事の際には、よくつくられる。ジャガイモやサトイモ、ニンジン、はす、ゴボウ、シイタケ、こんにゃく、鶏肉といった食材を1センチメートル角から一口大ほどの大きさに切りそろえて煮込む。一見筑前煮のようにも見えるこの煮ごみの最大の特徴は、ゆでたピーナッツが入っている点だ。

紛れもなく落花生

初めて食べた際には大豆かと思った。薄味に白っぽく煮込まれているせいもあるが、口に入れてびっくりした。紛れもなく落花生の味だったからだ。ダントツの落花生県・千葉で60年近くを過ごしてきたが、甘い味噌で絡めた味噌ピーはあるものの、煮ものに入っていた経験は皆無だ。

食べ始めると止まらなくなる

薄味で煮込まれていることもあり、ゆで落花生のように食べ始めると止まらなくなる。大豆にはない落花生ならではの濃厚さがくせになる。家庭料理と言うこともあり、飲食店ではあまりお目にかかることはないが、機会があったらぜひ一度食べてみてほしい。

甘さが特徴の大村寿司

一方で、大村のご当地料理として欠かせないのが大村寿司だ。戦に敗れ、一時大村を追われた領主がふるさとに戻る際、領主を迎えるために領民たちが整えた祝いの膳が、大村寿司のルーツだと言われている。

山海の美味をぎゅっと凝縮

戦の混乱の中で食器が足りず、近隣の海や山の幸を持ち寄り、浅い木箱に詰め、押し寿司をつくった。領主と共に戻った将兵たちは、それを脇差で切って食べたと言われる。大村寿司も煮ごみ同様、祝いごとや法事、祭には欠かせない食となった。

桃カステラ 長崎は甘い物が豊富

大村寿司は独特の甘さを持つが、これは、長崎街道が「シュガーロード」だったことに由来する。かつて奄美のサトウキビから精製された砂糖は、長崎で水揚げされ、そこから陸路、長崎街道を通って京の都に献上されていた。そのため、長崎県には甘い味付けが多い。また、小城羊羹など、やはり長崎街道が通じる佐賀にも甘い物が多く発達した。江戸時代、甘味は贅沢品とされており、それだけに祝い事や法事などの際には甘い物が多く食べられてきた。

穴子姿寿司とレタス巻き

大村寿司の具としても用いられる穴子も大村の名物だ。地元では「一角寿司」の人気メニューとして広く知られている。穴子姿寿司は丸々1匹の煮穴子が寿司になっている。これを切ってつまむ。

セットで食べるのが地元流

穴子姿寿司と並ぶ「一角寿司」の人気メニューがレタス巻きだ。エビとレタスをマヨネーズをアクセントにして巻物にしている。穴子姿寿司とセットで食べるのが、地元の定番の食べ方だ。

大村あま辛黒カレー

ご当地グルメでまちおこし取り組む大村あま辛カレーうまか隊がB-1グランプリに出展、全国にその名を知らしめたのが大村あま辛黒カレーだ。大村市は、1582年に4人からなる天正遣欧少年使節をローマへ派遣、インドを経て日本へ帰還した際に、カレーのスパイスを持ち帰ったとされ、「カレーのルーツのまち」とも言われている。そこに先ほどの「シュガーロード」と合わせ、大村あま辛黒カレーが誕生した。

B-1グランプリにも出展

フルーツを使った甘さとスパイシーな辛さを、体にやさしい竹炭粉を使ってまとめた黒いカレーだ。黒さに彩を添えるニンジンは、β-カロチン含有量が非常に高く、柔らかく、ニンジン臭も抑えられ、食味にも優れた大村原産の「黒田五寸」を使用する。2010年に開催された厚木大会からB-1グランプリにも出展するなど、郷土料理にはない魅力で、大村というまちをアピールする。

サツマイモを使ったつきあげ

険しい地形や江戸時代に日本で唯一の海外への窓口だったことに起因する食文化が多い長崎県にあって、他のまちとはひと味違った食文化を持つ大村。他にも「長崎のサツマイモ料理」の回で紹介したつきあげも大村発祥だ。交通の便がいいだけに、一度訪れて、その魅力を味わってみてほしい。

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