「引き算」で完成するスープ 新潟濃厚味噌ラーメン

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しょうゆラーメンや塩ラーメンに比べ、味噌ラーメンというと多くの人が札幌ラーメンとダブらせてイメージしてしまうのではないだろうか。首都圏でも、味噌ラーメンを看板メニューにする店の多くが、札幌や北海道をイメージさせる屋号を掲げている。ところが、新潟には札幌のイメージとはちょっと違った味噌ラーメンが存在する。新潟濃厚味噌ラーメンだ。

ラーメンにスープを薄めるだしがついてくる
ラーメンにスープを薄めるだしがついてくる

キーワードは「濃厚」だ。ラーメンスープに味噌を使うのが味噌ラーメンだが、とにかくその含有量が多い、つまり味噌味が濃いのだ。どれだけ濃いかというと、濃厚な味噌スープのラーメンに、濃い味噌味を薄めるだしがついてくるのだ。コショウなど、味を「足す」ことで自分好みに調味させるラーメン店は多いが、「引く」ことを前提に作られたラーメンは、個人的には、新潟濃厚味噌ラーメンが初めてだ。

広い駐車場の「こまどり」
広い駐車場の「こまどり」

そんな新潟濃厚味噌ラーメンの元祖といわれているのが「こまどり」。広大な駐車場を有する店なのだが、それでも昼食時は大盛況。店には「ウエイティングルーム」もあるのだが、そこから店の外にまで長い行列が連なるほどの人気店だ。

濃いスープは赤味噌ベース
濃いスープは赤味噌ベース

メニューを見ると「味噌ラーメン 太麺」「味噌五目ラーメン 平麺」「ねぎ味噌ラーメン 細麺」と同じ味噌ラーメンでも、メニューによって麺が使い分けられている。とりあえずデフォルトの味噌ラーメンをいただくことにする。

実は麺だけでなく。メニューによって味噌も使い分けられている。味噌ラーメンは、赤味噌ベースだ。五目は、信州味噌と栃尾味噌をブレンドしている。

付属の割りだし
付属の割りだし

赤味噌ベースのスープをまずひと口すする。確かに濃い味噌味だが、食べられないというほどではない。札幌ラーメンの味噌スープは油を多用したこってりした味わいだが「こまどり」では油はけっこう少ない。味噌汁にも似た、あっさりとした味わいだ。

テーブルに用意された辛味噌とおろしにんにく
テーブルに用意された辛味噌とおろしにんにく

添えられただしも味見してみる。だしの風味は感じるが、塩味は加わっていない、いわゆるだしそのもの、しかもけっこう薄めだ。これを足しながら、自分好みの味に調えていく。

つけ麺のような太麺
つけ麺のような太麺

麺は太目。つけ麺的な発想なら、麺が太いと本数が多い細麺に対し、麺の表面積が小さくなり、その分つけ汁の味を濃くすることになる。その意味では、この太い麺に対し、濃いめの味は理にかなっているといえる。ただし、スープを飲むとなると、やはりやや濃いことは否めない。濃いままに麺をすすり、その一方で薄めながらスープを味わうという食べ方が適しているように感じた。

割りだしや薬味で自分好みの味に
割りだしや薬味で自分好みの味に

興味深いのは食べ進めるうちに味を変えることを推奨している点だ。テーブルには辛味噌とおろしにんにくが用意されており、途中からそれを加えて味を変えていく。「引き算」しながら「足し算」もしていくのだ。いずれにせよ、斬新な食べ方だ。

「東横」では割りだしはポットに
「東横」では割りだしはポットに

続いて、やはり人気店の「東横」を訪ねてみた。先代は「こまどり」で修業したというだけあって、濃厚スープにだしを添えて提供するスタイルは「こまどり」同様だ。「加水」を前提にしているのか、スープの量が少ない。同店では、だしはポットで登場した。

濃厚で油も多いスープ
濃厚で油も多いスープ

しょうゆ、香味野菜をじっくり溶かし込み、空気に触れないよう袋詰めで空気を抜き、一定温度の冷蔵庫で熟成させたという味噌は極めて濃厚。この味噌だれにも負けないよう濃度の濃いスープを作ったという。結果として「こまどり」とは対照的な、油が多く、札幌的な味わいも感じるスープに仕上がっている。

澄んだ割りだしを加える
澄んだ割りだしを加える

スープはかなり濃い。この味に慣れた地元民なら別なのかもしれないが「東京もん」としては、まずだしを加えてから食べ始めることにした。極太の麺も、濃厚なスープにも負けない存在感を持ち、スープとも共存できる、味のしっかりした麺だった。

「中華そば ふじの 東中野山店」の味噌ラーメン
「中華そば ふじの 東中野山店」の味噌ラーメン

濃い味噌スープをだしで割りながら食べ進むという共通点はあるものの、第一印象としてはけっこう違いがあった2店を経て、もう一軒だけタイプの違う店を訪れてみることにした。地元では人気店という「中華そば ふじの 東中野山店」を訪ねた。

濃厚な味噌味
濃厚な味噌味

やはり濃厚な味噌味だったが、割りだしはつかない。味の濃さは「東横」より「こまどり」に近い。ただ決定的に違うのが、津軽のラーメンにも似た煮干しの味わいだ。主張の強い煮干しの味が、これまた濃厚な味噌味と共存しているのだ。

新潟のラーメンは個性派ぞろい
新潟のラーメンは個性派ぞろい

以前紹介した妙高・上越のとん汁ラーメンもそうだったが、新潟県の味噌ラーメンは、既存の味噌ラーメンとは違った発想の上に成り立っているのではないか…。濃厚味噌ラーメンは、そう思えるほどの個性的な味わいだった。他にも、燕市の背脂ラーメン、三条市のカレーラーメン、長岡市の生姜じょうゆラーメンなど、新潟県内にはそれぞれ個性の違うご当地ラーメンがある。県内のラーメンを食べ歩いてみるのも面白いだろう。

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