第3回(全4回)
東京をドーナツ状に取り囲むように群馬を中心に埼玉・栃木に存在する、“卵でとじないカツ丼”エリアの中でも知名度の高い桐生のソースカツ丼。東京から車や電車で2~3時間ほどの距離に位置し、週末には観光のお客さんも多く訪れます。 桐生のカツ丼の特徴といえば、何といってもヒレカツが主役のカツ丼。ロースカツが1枚のるソースカツ丼と比べると、ヒレカツが3~4個のるビジュアルは、ほかの地域で目にすることはまずありません。一見するとかわいらしい感じもしますが、結構ボリュームがあります。また千切りキャベツがのらないのもスタンダードスタイル。ソースは、元祖のお店がうなぎのタレとウスターソースを合わせたという和風のテイストのもので、一般的にあっさりとして甘めの味わいにご飯が進みます。
元祖のお店として知られる『志多美屋』
元祖のお店として知られる「志多美屋」は1926(大正15)年創業の老舗。鰻屋をルーツに持ち、鰻のたれとウスターソースを合わせた特製ソースで桐生のカツ丼の味を創ったお店であり、桐生を代表する名店です。
食べた瞬間はすこし醤油的な和風の味わいを感じますが、いわゆる醤油だれではない奥深さを感じます。ソースをくぐらせてもさくっとした歯触りを残しているのは、パン粉が違うからなのだとか。揚げ油もサラダ油とラードのブレンドで、くどくはないがコクのあるご飯に合う逸品に仕上がっています。
お店の名物であるソースカツ丼はヒレカツを使っており、カツの個数を4個か6個か選ぶことができます。またメニューにはソースカツ丼(ロース)や、意外に珍しいヒレカツの卵とじカツ丼もあります。家族連れから、若いカップル、仕事の方など幅広い層に愛されているお店です。
■志多美屋本店
- 群馬県桐生市浜松町1-1-1
- 0277-44-4693
- 木曜・第3金曜定休
- 11:00~14:00、17:00~20:00
「志多美屋」と人気を二分する『藤屋食堂』
「志多美屋」と人気を二分する「藤屋食堂」は1967(昭和42)年創業。メディアにも登場するご主人は「志多美屋」で10年間修業され、入り口では原寸大のご本人の写真でお出迎え。インパクト大で、若いお客さんも多く、賑わう店内は活気があります。
人気は上ヒレのソースカツ丼で肉は柔らかく、ソースはやはりウスターに醤油風味に加わり甘みのあるもの。普通のソースカツ丼はもも肉を使っているとのことですが、カツはかなり柔らかく、ごはんに合うソースでまとめられています。
メニューにはソースカツ丼上ヒレとソーストンカツ丼というロースのソースカツ丼があり、更にデカ盛りのメニューなどがあります。またこちらにも卵とじの卵カツ丼がありますが、やはり多くの人はソースカツ丼を食べているようです。
■藤屋食堂
- 群馬県桐生市清瀬町5-49
- 0277-45-1805
- 月曜日 第2火曜定休
- 11:00~14:30、17:00~20:15
うどん・ひもかわの老舗として知られる『藤屋』
群馬県は小麦の生産量全国4位、本州では一番の生産地です。うどん屋さんが多く、そばも扱っている店でも、うどんとひもかわという二種類の麺があり、温かい麺の他、ざるうどんなどの冷たい麺、つけ麺などのバリエーションがあります。こうしたうどん店でもソースカツ丼が食べられます。
1887(明治20)年創業の「藤屋」はうどん・ひもかわの老舗として知られるお店で、現在6代目が切り盛りしています。なめらかな舌触りとのど越しのひもかわも絶品ですが、こちらのソースカツ丼も評判です。さくっとした衣に味のしっかり目のソース。ソースカツ丼は一種類ですが、ミニソースカツ丼もあるので、ひもかわと一緒にいただくのもおすすめです。
■藤屋本店
- 群馬県桐生市本町1-6-35
- 0277-44-3791
- 月曜・第4火曜定休
- 11:30〜14:30(L.O)、金土日17:30〜20:30(L.O)
隠れ家的な佇まいのとんかつ店『山車(さんしゃ)』
創業40年になる地元で人気のとんかつ店「山車(さんしゃ)」は、桐生駅から徒歩5分ほどですが、隠れ家的な佇まいのお店です。こちらは重箱で提供されるカツ重。
「ソースかつ重」と「ソースひれかつ重」があり、ひれかつ重は5個のヒレカツがのっています。
とんかつ屋さんのヒレカツはサクサクで肉はとても柔らか。ソースはテーブルにとんかつソースが置いてありますが、味がついているのでそのまま食べて、といわれます。お客さんから評判のソースは一般的な桐生のソースとは一味違うようです。ちなみにロースのカツ重をお願いすれば、聞いてもらえるとのことです。
■とんかつ山車(さんしゃ)
- 群馬県桐生市巴町2-14-4
- 0277-47-4298
- 不定休
- 11:30~21:00