第3回(全4回)
元祖煮込ソースカツ丼の店 『なかじま』
会津若松のソースカツ丼の標準的なスタイルは、千切りキャベツにフルーティなとろみのある甘めのソースをくぐらせたカツをのせたもの。味わいのみならずデカ盛りで知られる店も少なくはなく、今では観光客も数多く訪れる会津若松の名物の一つとなっています。
加えて他地域では滅多に見られないソース味の玉子とじカツ丼。このカツ丼を産み出したのが昭和23年創業の「なかじま」です。
全国的には卵とじのカツ丼といえば醤油味なので、ソース味の玉子とじとはどのような味なのか想像がつきません。味の決め手となるのは、割り下の代わりにスパイスや甘味を加えたベースのソースに和風だしではなく豚骨・鶏ガラ・野菜などのスープを合わせた特製ソース。このソースで玉ねぎを煮て、カツとともに卵でとじたものを丼にのせます。
見た目には少し色が濃い目の玉子とじカツ丼ですが、どんぶりのふたを開けるとふわっとソースの芳しい香りが漂います。食べてみると確かにソース味の玉子とじなのですが、濃い目の見た目より優しい味わいのカツ丼になっています。煮込みソースカツ丼の提供軒数があまり多くないのは、玉子とソースがちょうどいい具合に馴染んだ味を出すのが難しいからなのでしょう。
ソースカツ丼も人気ですが、こちらのキャベツソースカツ丼はソースの美味しさの評価が高く、コクがあり、酸味と甘みのバランスが絶妙で、ソースカツ丼としての完成度が高いと感じさせられます。洋食にルーツを持つ会津若松を代表する老舗のお店です。
■なかじま
- 福島県会津若松市上町2-39
- 0242-24-5151
- 火曜定休(祝日の場合は翌日休)
- 月:11:00~14:30、水~金:11:00~14:30 17:30~20:00
- 土日祝:11:00~15:00 17:30~20:00
こだわりのソースカツ丼 『とん亭』
続いてとんかつ店のソースカツ丼をご紹介しましょう。地元でも人気の高い「とん亭」は昭和47年創業。ご主人はもともと肉の小売業に携わっており、創業時は焼肉ととんかつの専門店としてスタート。ほどなくとんかつ専門店となったそうです。人気のカツ丼は創業時からあり、現在は会津若松で唯一のカツ丼専門店として人気を博しています。
ソースカツ丼にはロースとヒレ、上と並があり、煮込みカツ丼や、エビカツ丼などがあります。中でもボリューム満点の「会津こだわり丼」は、豚肉はもちろん、お米やキャベツも地元産にこだわっています。肉は分厚いですがとても柔らかく、長年継ぎ足された特製ソースは甘めでご飯にもよく合います。
会津地方は馬肉をよく食べますが、こちらには馬肉のカツ丼があります。大河ドラマ「八重の桜」をきっかけに生まれた「八重うまっソースカツ丼」は桜肉のヘルシーなソースカツ丼。同じソースですがあっさりといただけます。桜肉のカツ丼はなかなかお目にかかることのできない稀少な一品。人気のとんかつのソースカツ丼と迷ってしまいます。
■とん亭
- 福島県会津若松市天寧寺町1-11
- 0242-27-2191
- 月曜定休
- 11:00~14:00、17:00~20:00
ソースカツ丼の町だから 『えびや』
ソースカツ丼文化の根付くまちならではといえるのが、老舗の鰻屋「えびや」のソースカツ丼。店名は明治時代の創業で最初は川エビを扱っており、めでたいものとして名付けたそうです。会津若松で鰻といえば「えびや」といわれるくらいの人気ですが、ソースカツ丼もかなり前から出されています。
肉はヒレ肉を使い、とても柔らか。鰻屋さんのカツ丼ですが、うなぎのたれには関係なく、カツ丼専用の甘みと酸味のあるソースを使うソースカツ丼も人気のメニューです。
■えびや
- 福島県会津若松市馬場町1-21
- 0242-22-1288
- 不定休
- 11:00~14:30
- 16:00~21:30
そば屋のソース煮込みカツ丼 『そば処和田』
そば屋にカツ丼は全国的には定番メニューですが、そば処として知られ、そばも美味しいといわれる会津では意外にもあまりカツ丼を見かけません。そんな中、昭和46年創業の「そば処和田」にソース煮込みカツ丼があります。創業時は洋食店で、途中でそば屋になったそうですが、最初からソースカツ丼は今のスタイルだったのだとか。どんぶりのふたを開ける前からソースが香りますが、中はしっかり卵でとじられたカツ丼です。「なかじま」の親戚筋に当たるそうで、美味しいソース煮込みカツ丼を味わえます。
■そば処 和田
- 福島県会津若松市和田2-2-9
- 0242-28-1001
- 火曜定休
- 11:00~15:00、17:00~20:00