毎週食べられるステーキ「四日市とんてき」

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ニンニクがごろごろ入った分厚い豚ロース肉のステーキは、切れ目が入ってまるでグローブのよう。見るだけでも「精が付く」ような気がする。これは三重県四日市のご当地グルメ、四日市とんてきだ。

工場で働く人のエネルギー源

ニンニクごろごろ
ニンニクごろごろ

残念なことに、四日市という都市名を4大公害病と合わせて記憶している人は少なくないだろう。それは、高度経済成長期に工業都市として大きく発展したことの裏返しだ。

戸畑のチャンポンはハイカロリー
戸畑のチャンポンはハイカロリー

工場がたくさんある町には、そこで働く人たちのエネルギー源となる独自のご当地グルメが存在するケースが多い。製鉄のまち、戸畑では、長崎に近いにも関わらず、チャンポンがこってりとんこつスープになり、具には揚げ物がのるハイカロリー仕様に。浜松でぎょうざが好んで食べられるのも工業都市ならではだ。四日市のとんてきも、まさに、工場で額に汗して働いていた人々のエネルギー源になっていた。

豚なら週イチ、ステーキが食べられる

分厚い豚ロース肉
分厚い豚ロース肉

三重県といえば、松阪牛のお膝元。なぜ、牛ではなく、豚だったのか。それも、工場のまちが故だ。

高度成長期、工場で働く人々の生活は決して豊かではなかった。精が付くステーキは食べたいが、牛肉はやはり値が張る。「たまのぜいたく」でしか食べられない。一方豚なら、週に一度くらいは食べられる。とんかつでもいいが、やはり「ステーキ」の語感には「ご褒美感」がある。

居酒屋でとんてきをつまみに一杯
居酒屋でとんてきをつまみに一杯

四日市とんてきが誕生したのは戦後。市内の中華料理店「来来憲」で修業を積んだ、現在の「まつもとの来来憲」の店主が独立、看板メニューとして人気が高まり、市内の多くの店に広まった。ステーキというとレストランを想像するが、そもそも中華料理店から誕生したメニューだけに、ラーメン店や居酒屋など多くの業態の店で食べられる。

音で焼き加減を調整

脂身の部分がつながった「グローブ型」
脂身の部分がつながった「グローブ型」

使う肉は肩ロース、1枚250グラム。ショウガ焼きよりはるかに厚く、ポークソテーをも上回る厚みを持つ。「グローブ型」のカットも四日市ならではだ。脂身の部分はつながったまま、赤身の部分に縦に切れ目が入る。

四日市とんてきを焼くのは「鍋」
四日市とんてきを焼くのは「鍋」

「ステーキ」というと鉄板焼きを思い浮かべるが、四日市では、とんてきを中華鍋やフライパンで調理する。肉が厚いため、火をしっかり通しつつ、硬くならないようにするのがプロの技だ。フライパンが発する焼き音で、火が通り切る寸前を見極めるという。

「四日市」といえば「とんてき」

ソースと相性抜群の千切りキャベツ
ソースと相性抜群の千切りキャベツ

ソースがベースの味付けも四日市ならでは。しょうゆを使う店もあるが「まつもとの来来憲」はじめ多くの店がソース味だ。そしてたっぷりのニンニク。増量も可能だ。添えられるのは、千切りキャベツ。ソースベースのたれに千切りキャベツが合わないはずがない。

四日市とんてき協会
四日市とんてき協会

2010年から、市民団体・四日市とんてき協会がB-1グランプリに出展、四日市とそのとんてきの魅力を発信し続ける。彼らの願いは、全国津々浦々で、四日市といえば「ぜんそく」ではなく「とんてき」と言ってくれるようになることだ。

四日市とんてき協会

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