夏でもカキを満喫 日生カキフェス

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カキがたっぷり入ったお好み焼き、カキオコで知られ、西日本で有数のカキの水揚げを誇る岡山県備前市日生(ひなせ)町で、地元飲食店によるカキ料理を食べ比べるイベントが開催された。「ひなせカキフェス」は2024年7月に開催され好評を博した。冬が旬のカキをオフシーズンでも楽しんでもらうために企画されたイベントで、今年も「ひなせ春カキフェス」が4月20日に開催された。

カキが山盛りのカキオコ

日生のカキは、全漁連が主催する「全国牡蠣ー1グランプリ」で加熱部門のグランプリを受賞するほどの品質を誇るが、日生の特産であるマガキは、7月の産卵期に向けて、卵や精子にエネルギーを向けるため、味が落ちる。このため4月から10月までは生牡蠣が市場から姿を消すことになる。冬のシーズンには、カキオコを求めて小さなまちの小さなお好み焼き屋に大行列ができる日生だが、カキのシーズンが終わると途端に寂しくなってしまうのが現状という。

岩ガキは夏が旬

そこで、オフシーズンでも冷凍のカキを使って、カキオコをはじめとした日生のカキ料理を楽しんでもらおうと企画されたのが「ひなせカキフェス」だ。もちろん、冷凍のカキだけではない。日生では、マガキとは逆に夏が旬の岩ガキの養殖もスタートさせた。そもそも日生の殻付きマガキは加熱処理用のみなので、生食ならば夏こそがトップシーズンというわけだ。

大ぶりで濃厚な日生の生岩ガキ

今回のイベントでも、そんな日生の岩ガキが生食で提供された。マガキに比べ大ぶりな岩ガキだけに食べ応えは抜群だ。ちなみに、写真の生ガキは大サイズ。ひとつ1200円だった。ひとくちでは食べきれないほどの大きさで、その味はクリーミー。カキオコはもちろん魅力的だが、夏に食べる日生の生ガキも、カキオコに負けず劣らず魅力的だ。

目の前で調理し、てきたてを提供

さらに冷凍ガキを使って、地元飲食店が工夫を凝らしたオリジナルのカキ料理を用意。カキの殻を投票用紙代わりに、食べ比べをしてもらい、その美味しさを競うイベントも開催された。会場となった日生町漁業協同組合の直売所・五味の市内に各店がブースを設け、そこで、自慢のカキ料理を調理・提供する。

「カキオコ屋暖里」のカキのブルスケッタ

まずは五味の市の目の前にお店がある「カキオコ屋暖里」のカキのブルスケッタ。ブルスケッタとは、イタリア料理で、炙って表面を焦がしたものという意味を持つ。香ばしく焼いたバゲットの上にカキをのせ、さらにその上にとろけたチーズがのる。味付けは、ガーリックバターとバジルソースで。「カキオコ屋暖里」の人気メニューの一つ、カキのバジル焼きを昇華させたメニューだ。

「ウェルネス日生」のカキの炊き込みご飯

町内の健康をテーマにした複合施設「ウェルネス日生」が提供したのは、カキの炊き込みご飯。だしの味を効かせた王道のカキ料理だ。濃いめの味付けの料理が多い中にあって、だしを生かした薄味の味付けは、「健康」をテーマにするお店ならではと思わせててくれた。

「天goo」のカキのあまから丼

町内の寒河(そうご)にある古民家麹カフェ「天goo」が提供したのは、カキのあまから丼。フライパンで甘辛い味付けで加熱されたカキがのったどんぶり飯だ。たれがかなり濃厚な味付けだったが、カキそのものの持ち味が、それに負けず劣らずで、美味しく食べ進められた。甘辛い、味の濃いソースがご飯を呼ぶ。カキのあまから丼とともに、カキのみそ汁も提供した。

「ひろし食堂」のカキもんライス

JR赤穂線の日生のとなり駅・伊里から出店したのは「ひろし食堂」。提供したのは、カキもんライスだ。同じ岡山県内、県北にある津山のご当地グルメであるホルモンうどんの影響がうかがえる。みそ味のたれで炒めたホルモンと野菜の中にカキが入っている。濃厚のみそだれが、やはり白いご飯に合う味だった。

「Adve Camp」のカキと筍のカレーライス

日生港の目の前に並ぶ日生諸島・頭島のキャンプ場「Adve Camp」が提供したのは、カキと筍のカレーライス。筍を使ったカレールーは、さらさらのカレーではなく、かなり水分量の少ないカレーに仕上げてあった。これが濃厚な味のカキと合わさると、やはりご飯が進む味になる。

他にもカキのクリームコロッケなども販売

来場者からの投票では、「ウェルネス日生」のカキの炊き込みご飯がダントツの1位だった。2位は同票で「カキオコ屋暖里」のカキのブルスケッタと「天goo」のカキのあまから丼だった。多くの来場者が、日生ならではのカキ料理に舌鼓を打った。

「カキオコ屋暖里」は串焼きも人気

日生に来たからには、カキオコは食べ逃せない。「カキオコ屋暖里」なら、五味の市の目の前だ。「こんなにカキを入れるの?」と驚くほどたくさんのカキが入ったお好み焼きが楽しめる。カキのブルスケッタはカキフェス開催日以外でも店舗で食べることもできる。もちろん、人気のカキのバジル焼きを食べ逃す手はない。ビールが進むこと請け合いだ。

カキフライソフトクリーム

そして五味の市の名物として知られるのが、カキフライソフトクリームだ。コーンに盛られたソフトクリームに、カキフライが2つ刺さっている。カキフライを抜いて、ソフトクリームをすくい取りながら食べるのが作法なのだとか。熱々のカキフライと冷たいソフトクリームの温冷のコントラストが「未知の味」だ。

冷凍ものでも味に遜色はない

今回ご紹介したカキフェスは、6月1日(日)にも「ひなせ夏カキフェス2025」として開催される。「カキは冬のもの」という固定概念を捨てて、1年を通じてカキを楽しもうというわけだ。カキ好きなら、6月1日はぜひ、岡山県日生町に足を運びたいところだ。

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