カレー粉のせつゆだくソース焼きそば 小見川スープカレー焼きそば

投稿日:2026年4月3日 投稿日: (更新日:

2006年に佐原市、小見川町、山田町、栗源町の1市3町が合併して誕生した香取市。都市規模的には、水運で栄えた旧佐原市が中心都市だが、全国的に知名度の高い香取神宮から合併後の市名を取った。旧小見川町は、やはり利根川の水運で栄え、合併前は、佐原に次ぐ規模のまちだった。そんな小見川には旧小見川町時代から続くソウルフードが食べ継がれている。スープカレー焼きそばだ。

小見川のソウルフード

小見川のスープカレー焼きそばは、単にカレー味の焼きそばと言うだけでなく、栃木県那須塩原や青森県黒石同様に、焼きそばでありながらスープに浸っているというかなり変わり種の焼きそばなのだ。かつて、町内中心部を流れる利根川の支流・黒部川沿いにあった「一心堂」というお店で誕生したと言われている。

「中華・らーめん華蓮」

その後「一心堂」とともに一度姿を消すが、町内の複数の店舗で復刻の動きがあり、現在でも限られた店舗数ながら、小見川のソウルフードとして食べ継がれている。そんな小見川スープカレー焼きそば復刻の中心的存在と言えるのが「中華・らーめん華蓮(かれん)」だ。

まさに看板メニュー

同店のスープカレー焼きそばは、看板にも「スープカレー焼そば」と掲げられているように、まさに看板メニューだ。現店主が学生の頃に、すでに「一心堂」は営業を終えていたと言うが、その味とコンセプトを引き継ぎ、自らの店で復刻させた。メニューをよく見ると、セットは「スープカレー焼そば」だが、単品では「スープソース焼そば(カレー味)」とある。

スープソース焼そば(カレー味)

メニュー名の違いを指摘すると、女将さん曰く「『スープカレー焼そば』と呼んでいるが、やはり汁だくのスープソース焼そばがあり、そこに最後カレー粉を掛けたものが、正しくは『スープソース焼そば(カレー味)』であり、それをスープカレー焼きそばと呼んでいる」とのことだった。

追いカレー粉

要するに、調理前段では肉、野菜や麺をソースで炒めたソース焼きそばであり、そこにまず、ラーメンスープが加わり、スープソース焼きそばになる。そこへ最後、カレー粉が加わるとスープソース焼そば(カレー味)=スープカレー焼きそばが完成する。興味深いのは、「中華・らーめん華蓮」では、カレー粉入りで調理した上に、客にはカレー粉とともに配膳する点だ。客は好みで「追いカレー粉」を掛けて食べるのだ。

カレー粉の味が結構強い

まずはひと口スープをすすってみる。カレー粉の味が結構強く、すでに、スープソース焼きそばの面影は消えていた。そこに、さらにカレー粉を追いがけする。カレーの味が前面に引き立つ。特徴的なのは、具だ。色味から判断するにハムかと思ったが、口にすると、それは魚肉ソーセージだった。

具はキャベツと魚肉ソーセージ

具は千切りキャベツと細切れにした魚肉ソーセージのみで、いかにもB級グルメの感覚だ。他のラーメン店では、しょうゆやみそなどのラーメンと具を共通化しているのだろう、肉も野菜も種類豊富に、量も潤沢に盛られていたが、このシンプルな具の構成が、もしかしたら古の小見川スープカレー焼きそばの姿だったのかもしれない。

「一期一笑」のスープカレー焼きそば

そんな「中華・らーめん華蓮」同様のB級感覚の小見川スープカレー焼きそばを提供するのは、居酒屋「一期一笑」だ。居酒屋なので、夜だけの営業で、いわば呑んだ後のシメの麺となる。「一期一笑」のスープカレー焼きそばの具は千切りキャベツと赤ウインナーだ。細切れにされた赤ウインナーも昭和の装いだ。

「お食事処ニュー栄」のカレー焼きそば

古の味にこだわりつつも、店主のこだわりの味に仕上がっているのが「お食事処ニュー栄」のカレー焼きそばだ。メニュー名に「スープ」はつかないが、スープたっぷりにラーメン丼で提供された。カウンター越しに調理過程をチェックすると、まずは野菜や肉を炒める。他のラーメンに使うものと共通で、キクラゲなども入っており、けっこう豪華だ。

具が豊富

肉と野菜を炒めながら、隣では麺を茹でていく。茹で上がった麺をフライパンに放り込むと、まずはカレー粉が投入された。その後、ラーメンスープが投入され、ソースは最終段階で加えられた。気になったのが、けっこう砂糖を入れていた点だ。

甘さとソースのスパイス、カレー粉が融合

実際仕上がって、スープをすすってみると、確かにかなり甘い。しかし、それがカレー粉の刺激を引き立てていると同時に、最後にさっと投入したにもかかわらず、ソースの香りもかなり立っているのだ。あえてB級感を出すのではなく、味にこだわった点が「お食事処ニュー栄」の特徴だ。

「さかえラーメン」のカレー焼きそば

最後に「さかえラーメン」のメニューにもカレー焼きそばがあったので食べてみた。残念ながらスープ入りではなかったのだが、ある意味、これを食べたおかげで「小見川のカレー焼きそばの定義」がはっきりした気がした。カウンター越しに調理過程をチェックすると、前段は、ソース焼きそばそのもの。

ソース焼きそば+カレー粉=カレー焼きそば

野菜と肉と茹で麺を炒めて、ソースで味付け。いよいよ完成という段階で、ひょいとS&Bのカレー粉を放り込む。しかも盛り付けた後にも、追いカレー粉が続く。つまりは、カレー焼きそばと言いつつ、ソース焼きそばとして調理し、最後にカレー粉をのせるとカレー焼きそばになるのだ。ここで「中華・らーめん華蓮」の「ソース焼そば(カレー味)」に戻ってきた。

不思議だが美味しいマリアージュ

ソースの効いた焼きそばに和風のだしを注ぐ青森県黒石のつゆやきそばも不思議なマリアージュだったが、ソース焼きそばにラーメンスープ、さらにはカレー粉という小見川スープカレー焼きそばも、なかなかどうして、不思議にいいマリアージュだった。あまり交通の便がいいとは言えない小見川だが、このスープカレー焼きそばを食べるためだけに訪れるのも一興かもしれない。なかなか美味しいのだ。

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