サバ缶は不可欠 根曲がり竹のみそ汁

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根曲がり竹をご存じだろうか。チシマザサとも呼ばれ、国内では北海道から鳥取県の大山以北に生息する大型の笹の一種だ。5~6月ごろに新芽(タケノコ)が生えてくることから、各地で春を告げる味として好んで食べられている。北海道や富山県ではおでんの具として、東北や長野県の北信地方と新潟県の上越地方の山間部では魚の缶詰と合わせて煮物として食べられている。

煮物にしても美味しい

豪雪地帯では、雪の重さで地下茎が横向きに曲がって生え、若芽が地上に出ると茎が根元から反り返るように曲がってしまうため「根曲がり竹」と呼ばれている。山陰地方では「姫竹(ひめたけ)」、ほかにも「月山筍(がっさんだけ)」「地竹(じだけ)」「笹たけのこ」などとも呼ばれる。

瓶漬めの根曲がり竹

初夏のごくわずかな時期にしかとれないため、出回る量が少なく、手に入りにくい希少なたけのこだ。生息地が標高の高い多雪地帯のため、アクが少なく味が良い。標高の高い地域ではあるが、手軽に採れて美味しいことから、昔から山間地で親しまれている味だ。あまりに旬が短いため、水煮にしたうえ、瓶漬めにして保存することも多い。

「いいやまぶなの駅」の根曲がり竹のみそ汁

そのまま煮て食べてもおいしいが、冬の間の積雪量が多く、タンパク質を干し魚や缶詰などの保存食で摂取していた地域と生息地が重なるため、缶詰の魚を入れて調理する地域が多い。山形なら、地元では「月山筍」とも呼ばれている根曲がり竹に鮭の缶詰を入れてみそ汁にする。

抜群のコリコリ感

そして、日本中のどこよりも根曲がり竹のみそ汁を愛しているのが、長野県北信地域から新潟県上越地域にかけてではないだろうか。根曲がり竹のみそ汁は、たけのこ汁とも呼ばれ、道の駅などはもちろん、多くの飲食店でも提供される。そしてそのみそ汁の、根曲がり竹と共に必須の食材がサバの水煮缶なのだ。

根曲がり竹のみそ汁にサバ缶は不可欠

特に北信地域は地形が複雑で雪も深かった。日本海の魚を運ぶことは困難を極め、水揚げしたいかを、いかだか塩だか分からないくらいたっぷりの塩で漬け込んだ塩丸いか食べていたほどの土地柄だ。昭和30年代に入り、加工法が発達するとサバ缶は「海なし県・長野県」のご馳走になった。

サバの水煮でご馳走感が高まる

何より、適度に脂がのったサバの水煮が、なんとも根曲がり竹によく合うのだ。特にサバならではの脂は、山の幸では出せない貴重な味だ。コリコリとした食感の根曲がり竹は爽やかに、豆腐などあっさりとした味わいの具にサバが加わると、山の中の味とは思えないほどのコクが深まるのだ。

「道の駅花の駅千曲川」

実際に現地で根曲がり竹のみそ汁を食べてみよう。まず訪れたのは飯山市中心部を流れる千曲川の土手の上にある「道の駅花の駅千曲川」だ。地元産品を扱う直売所に、地元の味を楽しめるカフェ、さらに登山の拠点らしく登山用品を扱う「モンベル飯山店」も併設する。ここのカフェレストラン「里わ」では、毎年、シーズンの到来と共に根曲がり竹のみそ汁を期間限定で販売する。

ライスを添えて

ゴールデンウイーク後に電話で確認をしたところ、連休明けと共に提供を開始したとのこと。さっそくクルマを飛ばした。根曲がり竹のみそ汁の提供はランチタイムの11時から。すでにランチタイム待ちの行列ができていた。根曲がり竹のみそ汁目当ての客も多いのだろう。単品のメニューもあった。また、定食の汁を根曲がり竹のみそ汁に変えることもできた。

具だくさん

いやはや具だくさんだ。主役の根曲がり竹は、穂先のやや柔らかい部分は長めに、根元のしっかりした歯触りの部分は細かく刻まれていた。特に細かく刻まれた根元の部分のコリコリ感がたまらない。ニンジンやタマネギ、シメジも加わる。コリコリ感、柔らかさ、そしてしめじのしなっとした食感まで、バラエティー豊かな歯触りが楽しめる。

セット販売も

そしてもうひとつの主役とも言えるサバの水煮。直売所を見ると、味噌煮もありのようだ、売り場には、根曲がり竹とサバ缶、そして味噌がセット販売されている。山深い地域だけに、水温の低い日本海で蓄えられたサバの脂がごちそうだ。缶詰なので、所々身がほぐれて汁に浸っているのもいい。

「いいやまぶなの駅」

北陸新幹線飯山駅にも近い「いいやまぶなの駅」にも根曲がり竹のみそ汁があった。期間限定、「北信州のソウルフード」のキャッチコピーと共にPOPが掲げられていた。定食ととともにやはり単品も用意されているのは、それだけ根曲がり竹のみそ汁へのニーズが高いからだろう。

店頭に並ぶ根曲がり竹

午前中早い時間だったので、物産コーナーでは生の根曲がり竹も店頭に残っていた。食堂も物産コーナーも以前訪れた際よりは、明らかに賑わっていた。やはり皆、根曲がり竹目当てなのだろう。この後に「道の駅花の駅千曲川」を訪れたのだが、すでに物産コーナーの根曲がり竹は売り切れだった。

「道の駅信越さかえ」のたけのこ汁

千曲川沿いに上越地方に向かって車を走らせると、新潟県との県境にある「道の駅信越さかえ」にもたけのこ汁があった。黒いサバの皮目が「海の味」を目に訴える。県境を越えたところで、千曲川は信濃川へと名を変えた。しかし、根曲がり竹のみそ汁への愛は、北信州から上越へと県境越えてなお、続いていきそうだ。

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