フルーツ王国の真実

投稿日:2026年4月12日 投稿日: (更新日:

福島県はフルーツ王国。それは郡山市に移住する前には知識の域を出なかった。移住してみたらたちまち日々の実感に変わった。

移住したのは2025年の5月末。地元のJAが運営する大規模産直施設「愛情館」に行ってみると、生産者が持ち込んだ朝どれの野菜が所狭しと並んでいる。どれも新鮮で安い。食べるとほうれん草、シイタケ、キュウリなど、東京で口にしていたものとは別物だった。

やがて夏になると桃が並び始めた。「あかつき」という品種が主流なのだが、ほとんどが地元で消費されるため、東京のスーパーで目にした記憶はない。1個ずつ売っているものももちろんあるけれど、圧巻は店のど真ん中に何段も積み上げられた箱だ。箱には10~20個の桃が入っていて、客は箱の中を覗いて値段と見比べながら品定めをし、気に入ったものがあれば箱買いする。箱買いが当たり前なのだ。私もやがて箱買いするようになった。

あかつきがピークをむかえると桃の売り場は別棟に増設される。そこには贈答用の桃の箱が積み上がり、買い求める人々が朝から長い行列をつくる。スーパーでも同じような光景が見られ、郵便局にもカタログが並ぶ。秋のナシも同様。

年が明けたらイチゴの季節になる。イチゴは傷みやすいので、さすがに箱は少ないが、パック詰めの真っ赤なイチゴが陳列台を埋め尽くす。3日に1度はそんなイチゴを買っては食べていると色、味、香りとも申し分ないイチゴに出合った。パックに張られた生産者情報からオカベさんが丹精したイチゴと知った。

ところがそのオカベさんのイチゴがある日を境に姿を消した。行くたびにイチゴ売り場を見て回るのだが、見つからない。見つからないならこちらから出かけてみよう。春の気配が濃くなった3月中旬、郡山の南隣の須賀川市にあるオカベさんのイチゴ農園を訪ねた。ビニールハウスの向こうにプレハブの作業場兼直売所があって、中ではオカベさんがパック詰め作業の真っ最中だった。

「イチゴは1、2月の出始めのころが美味しいんですよ。そのころは愛情館に持って行っていましたが、片道30分はかかるので最近は…」

収穫とパック詰め作業に追われて、そんな余裕はないのかもしれない。直売所のカウンターにイチゴが並んでいる。収穫されたばかりのイチゴだ。

「こっちがLサイズでこっちが2Lサイズです。どちらも光っているでしょう」

確かにイチゴの表面が輝いている。

「では2Lサイズのものをいただきます」

1パックに17~18個入っていて税込み850円。お買い得だ。パックを覆う透明なフィルムを通して、あの素晴らしい香りが漂ってくる。

帰路、広い通りを選んで車を走らせていると、道路の両側にウルトラマンや怪獣の像が見えた。そしてJR須賀川駅前には大きなウルトラマンの彫刻が屹立していた。須賀川市はウルトラマンの産みの親で「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二監督の故郷なのだった。

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