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「埼玉県人」への登竜門 ピッツア&パスタるーぱん

投稿日:2026年9月11日 投稿日: (更新日:

「山田うどん」や「ぎょうざの満州」のように創業地から同心円を描くように近隣に店舗を広げるローカルチェーンの多い埼玉県だが、そんな中でも、店舗が埼玉県内にしかない、しかも埼玉県人以外にはちょっとハードルが高いローカルチェーン店がある。「ピッツア&パスタるーぱん」だ。

たっぷりのソースで食べる
たっぷりのソースで食べる

「ピッツア&パスタるーぱん」は、1972(昭和47)年に、日本初のピザハウスとして知られるイタリア料理店「ニコラス」で修行した創業者が、本格的なピザを提供する店として、埼玉県熊谷市にオープンした。元祖店はすでにないが、現在は、熊谷市に隣接する行田市にある配送センターを本社として登記している。

ガーリックのパンチが魅力のワイルドピザ
ガーリックのパンチが魅力のワイルドピザ

バブル時代は、県内各地に支店を持ち、栃木県や群馬県、千葉県にまで進出したもののバブル崩壊と共に撤退、現在では熊谷の他、蕨、蓮田、上尾、川越、本庄に店を構えるのみとなっている。蕨出身のアーティスト・星野源が、学生時代に足繁く通ったと語るなど、店舗網の割には、熱烈なファンが多いのが特徴だ。

ピザをトマトソースに浸して
ピザをトマトソースに浸して

「るーぱん」の価格帯は、ボロネーゼ(ミートソース)で比較すると「サイゼリヤ」より高く、「ポポラーマーマ」とほぼ同価格帯、「ジョリーパスタ」よりも安価といったところだ。ドリンクバーを設定するなど、全国チェーンが競合となる。その意味では、「ぎょうざの満州」と「餃子の王将」の関係性と似たところがある。

「るーぱん」蕨西口店
「るーぱん」蕨西口店

とはいえ、「ぎょうざの満州」が奇をてらわない、ごくごくオーソドックスなレシピの料理を提供するのとは対照的に、「るーぱん」は個性を前面に押し出したユニークなメニューが多い。メニュー選びや支払い、配膳にもやや癖がある。しかしそうした点が、熱烈なファンを集める背景にもなっているようだ。実際に店舗を訪れて、その魅力を味わってみよう。今回訪れたのは蕨西口店だ。

ボンゴレ赤
ボンゴレ赤

人気メニューは、ボンゴレ赤。店頭にも「40年前からの定番」と大きく掲げられている。イタリア風に言えばボンゴレ・ロッソと言ったところだろうが、たっぷりのトマトソースに浸っているので、あくまでイタリアンではなく「るーぱん」オリジナルだ。スープスパゲティの感覚に近い。オリーブオイルと塩味ベースのボンゴレ白もメニューに載っているが、あくまでも店の推しは赤だ。

あさりはむき身
あさりはむき身

具はシンプルにあさりとトマトのみ。そしてあさりはむき身だ。高級イタリアンなら貝殻付きのあさりが使われることが多いが、そこは「お手頃価格」の「るーぱん」だけにむき身でコストを下げている。パスタは柔らかすぎず、かといってアルデンテと言う感触でもなかった。茹で置き麺を使う店もありそうな価格帯だが、しっかり茹で上げの麺を使っていた。

残ったソースにバターライスを入れてリゾット風に
残ったソースにバターライスを入れてリゾット風に

店のお薦めはバターライスとのセットだ。スープパスタ風のたっぷりのソースなので、パスタを食べ終えると、皿には結構な量のトマトソースが残る。ここに、バターライスを投入してリゾット風にするのが定番だ。パスタと米で、けっこうお腹いっぱいになる。

ペスカカレー大辛トマトソース
ペスカカレー大辛トマトソース

定番はボンゴレ赤だが、肉系、和風、辛いものなどパスタのメニューは豊富だ。いくつか選んで食べてみた。やはり魚介+トマト系のペスカカレー大辛トマトソースを注文する。ペスカとは、いわゆるペスカトーレ(漁師)風のパスタで、えび、いか、あさりが入っている。

味の決め手となるえび、いか、あさり
味の決め手となるえび、いか、あさり

ボンゴレ赤同様、たっぷりのトマトソースにパスタが浸っている。ソースは大辛を標榜するだけに、けっこうな辛味だ。辛味に加えソースの味に独特のくせを感じた。どこか覚えのある味で、しばらく味わっていると、それが冷凍のミックスシーフードの風味だということに気が付いた。具がまさに、小えび、小さくカットしたいか、小さめのあさりとミックスシーフードそのものだった。

カルボナーラ
カルボナーラ

ホワイトソース系はカルボナーラを食べてみた。脂身の少ないベーコンに象徴されるように、けっこうあっさりとしたカルボナーラだった。ソースの粘度も低く、やはりスープスパゲティ風。パスタにソースを意図的に絡めるようにして食べないとちょっと物足りないかもしれない。

納豆ボロネーゼ
納豆ボロネーゼ

肉系はボロネーゼを選択。メニューで気になった納豆ボロネーゼを選択した。ミートソース感はあまりなく、さらさらのトマトスープに具はほぼ納豆のみといった感覚だ。麺とよく混ぜてからいただく。正直なところ、トマトソースと納豆の絶妙なマリアージュに驚かされた。発想的にはB級なのだろうが、なかなかどうして癖になる味だった。タバスコを入れると、さらに味が引き立った。

るーぱんミックス
るーぱんミックス

パスタと並ぶイタリアンの雄、ピザも食べてみよう。生地は厚みのある宅配ピザとは違い、イタリアンなさくさくの食感だ。ソース、チーズも含め、王道のイタリアンスタイルだ。ちなみに、毎週金曜日は、テイクアウトも含め3種類のピザが半額だった。るーぱんミックスは定番のソース、具。ボンベイはカレー味。ワイルドピザはガーリックのパンチが魅力だった。味の違いが鮮明で、大人数でシェアして食べると楽しいだろう。

セットのカットピザ
セットのカットピザ

パスタのセットについてきたピザはプレーンだった。シンプルに、生地、ソース、チーズの組み合わせを堪能できる。薄めのサクサクした食感がいい。しっとり感のない生地なので、「るーぱん」特有のたっぷりのパスタソースに浸して食べると、また違った魅力が感じられる。

ドレッシングの評判が高い
ドレッシングの評判が高い

さらに「るーぱん」はサラダのドレッシングがおいしいことでも知られている。テイクアウトも可能なアンチョビドレッシングは、アンチョビ特有の塩味をベースに、シンプルにタマネギのうまみを引き出し、香辛料で味が調えられていた。変に足したり引いたりせず、素直に食材の良さを生かした仕上がりには高級感さえ感じるほどだった。

蕨西口店の入り口にある券売機

「るーぱん」各店は事前注文・支払いが基本で、蕨西口店では券売機が導入されていた。しかし、この券売機が曲者で、「るーぱん」にどっぷり浸った埼玉県民でないと、どこをどう操作してよいのか非常にわかりづらくなっている。そもそもメニュー数が多いのに加え、サラダやカットピザ、バターライスなど多種多様なセットが存在するため、行きつ戻りつしながら、必要なボタンを探し出して押す必要がある。何度か通ったが、最後まで使いこなせなかった。

大盛りはプラス200円
大盛りはプラス200円

ちなみにパスタの大盛はプラス200円で、結構な量の麺が追加されていた。事前決済のほか、食べ終えた食器をセルフで下げるなど、随所に安さを維持するための独特の工夫が見られた。そうした店全体が醸し出す雰囲気が、注文に習熟が必要な点も含めて、全国チェーンのイタリアンにはない「埼玉県民御用達」感につながっているような気がした。「るーぱん」を制覇できれば、立派な埼玉県人だ。

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