ソースとじゃがいも、両毛線の味 (トップ写真) じゃがいもというと北海道のイメージが強いが、実は北関東、JR両毛線で結ばれた一帯でもじゃがいもが好んで食べられている。北海道のじゃがいもというとバターとの組み合わせを思う浮かべるが、両毛線地域では、ソース味で食べられることが多い。 (写真:桐生「あさの商店」のポテト入り焼そば) 最も特徴的なのは、じゃがいも入りのやきそばだ。栃木県側では栃木市や足利市、群馬県側では桐生市、太田市などで幅広く食べられている。ソース焼きそばにたっぷりの蒸かしたり揚げたりしたじゃがいもが入っている。 (写真:鉄板でじゃがいもを炒める) 各地に点在するご当地やきそばだが、栃木市や佐野市、太田市などがそれぞれご当地やきそばとしてじゃがいも入りをアピールしている。ポテトやきそば、じゃがいも入りやきそばなど、料理名は若干異なるが、県境をまたぎ、けっこう広域でじゃがいも入り、ソース味のやきそばが食べられている。 (写真:老舗「岩崎屋」の真っ黒な上州太田焼きそば) 一方で、じゃがいもの入らないやきそばもあるので要注意だ。静岡県富士宮市、秋田県横手市と並び称されるご当地やきそばの雄、上州太田焼きそばも、地元の老舗「岩崎屋」では、じゃがいもは入らない。ソースで真っ黒な「焼そば」が、太田の名物として知られ、すべての店でじゃがいも入りというわけではない。 (写真:桐生「武正米店」の子供洋食(右)とポテト入りやきそば) 興味深いのは、じゃがいもの入ったやきそばを提供する店では、多くで焼きそば以外のじゃがいも料理がメニューに載っていることだ。例えば、桐生の子供洋食。じゃがいもを桜えびとともにソースで炒め、青のりと紅ショウガをのせたものだ。ポテト入りやきそばから麺がなくなったもの、と思えばわかりやすいだろう。 (写真:麺なしのポテト入りやきそば?) 佐野市や栃木市にはいもフライもある。蒸かしたじゃがいもにパン粉をつけて油で揚げ、フライにしたものだ。たっぷりのソースをつけて食べる。佐野市では、いもフライをご当地グルメと位置づけし、提供店のマップも作っている。 (写真:揚げたてのいもフライ) 驚かされたのが、いもフライ専門店の存在。いもフライを看板にテイクアウトのみで営業する店に多く出くわした。「岡本いもフライ店」は、看板に大きく「いもフライ専門店」と掲げる。提供するのはいもフライと同様に竹串に刺したウインナーフライ。ほかには、土日に限定でやきそばを販売するのみだ。 (写真:まさに「看板」メニュー) 「農家直営いもフライ&やきそば ぽっぽや」も公園前にぽつんと建っていた専業店だ。近所の主婦だろうか、車で乗り付けていもフライをまとめて購入していた。 (写真:「岡本いもフライ店」のウインナーフライ けっこうハマる味) 隣接する栃木市でも、やはりじゃがいも入りやきそばといもフライを一緒に扱う店に出合った。 (写真:スパイシーなソース味はビールにもぴったり) 安くて腹持ちがよく、育ち盛りの子供のおやつとしても愛される北関東のソース味のじゃがいも料理だが、その味わいはビールのつまみにもぴったりだ。飲兵衛なら、クルマではなく、缶ビール片手に電車に乗って「ソースとじゃがいも地帯」を巡るものいいだろう。